王女にツバメ

裏葉さんはちらとこちらを見て、少し息を吐いた。

「琉生、実家暮らしでしょう?」
「うん」
「今度、うちの実家で作ってる苺持って行って」
「え、来てくれんの?」

背筋を伸ばせば、「いや琉生が持ってくの」と正された。

というか裏葉さんの実家、苺作ってるのか。
すごい。

「息子が6歳も歳上の女連れてきたら驚くでしょ……」
「え、でもいつかは挨拶こなきゃだよ」
「それまでに根回しするの。苺嫌い?」
「皆好き」

根回しは必要あるのか。親は誰を連れてこようが嫌な顔はしないと思うけど、まあ裏葉さんがそう言うのなら。

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