シンデレラはサンタを信じた
そして1時間目が終了した。

飽きるほど聞いたチャイムは俺らの学校に鳴り響いた。

号令係の声とともにみんなが席を立つ。ありがとうございましたをみんなで一斉に言った。俺だけが口パクのようだ。


『橘くんあんまり大きい声で言えないからよく聞いてね』


『ああ、わかったよ』


『ほら、サンタさんって知ってる?』


『え…あーうん』

人に数学の答えを教える事とあの年に一度のクリスマスに登場してくる。赤い服着た白ひげのおじさんに関係あるとは思えないんだが?

でも灰原は妙に真剣な顔をして俺をみていた。


『サンタさんっていい子にしてる人にしかプレゼントをくれないの知ってる?』


『あー知ってる…でもそれになんの関係があんの…?』


『だからわたしはめっちゃいい子になろうと思ってるの!!』


灰原はキラキラした目でそう言った。


自分からいい子にしてるっていうのはどうかと思うが、その前に灰原がサンタさんを信じてることにびっくりした。


ここはサンタなんていないんだよって言ってやるべきか?でも人の夢を壊すのは気がひける。
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