無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
プロローグ
「ごめん、ちょっと匿って?」
保健室の窓から、いきなり人が入ってくるんだもん。
びっくりしちゃう。
それが、同じクラスの超絶イケメン男子だなんて
……もっと、びっくりしちゃう。
「はあ……ホント疲れる」
気だるいため息と同時、ブラウンベージュの明るい髪がさらりと揺れた。
脱いだスニーカーを片手に持って、音もなくきれいに着地した彼の名前は
──────西野遥日。
あまりの顔の美しさに見惚れていると、ふいに視線が絡み合い、心臓がドキッと跳ねあがる。
「……ちょっと、こっち」
「へ?」
「見つかったら俺、マズい」
ふわっと甘いにおい。
腕をグイッと引っぱられて、窓の下に 2人でしゃがみ込むかたちになった。
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