無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



はあ、と短いため息が降ってきて、それと同時に西野の腕から解放された。



「付き合ってくれてありがと」


そう言ってベッドに戻っていく西野。

頭の中にはてなマークが浮かぶ。



「付き合ってくれてって……なにが?」

「先輩の誘いを断るための口実に」

「え……?」



ぽかんとしたのち、意味がわかった。


西野は、最初から先輩からの誘いを断りたかったんだ。どうしようか悩んでたときに私が現れて。

抱きしめてそれっぽく見せることで、先輩を諦めさせた……。



「西野って、容赦ない利用の仕方するんだね」



ぎゅっとしたまま私のことが欲しいとか甘いセリフを吐いてくるから息も心臓も止まりかけたのに、演技だったってことね。



「俺、今日は誰の相手もしたくないんだよ」



悪態をついてあげようかと思ったけど、西野がしんどそうに頭を抱えたから黙ることにする。


誰の相手もしたくないってことは、私がここにいるのも迷惑ってこと。

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