無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


「じゃあ西野、お大事に……」

「利奈は用事済んだわけ?」

「……用事?」

「ここになんか用があってきたんじゃないの。それとも、利奈も体調わるいとか? 」



首を傾げる西野。



「いや、私はふつうに西野が心配で様子を見に……」

「え?」

「……え?……あっ」



……ああッ!?

私、今なんて言った!



「っ、いやあの! 西野、熱があるって話がたまたま聞こえてきたから……っ、だ、大丈夫かなって……」



語尾がどんどん弱くなる。


ああ失敗した。


私が保健室に来た理由を西野が勘違いしてたなら、そのままでよかったのに。

頼まれてもないのに様子を見にきたなんて、絶対ウザがられる……。




「ごめんね、邪魔だよね!すぐに出ていくので、ゆっくり休んで──────」



最後まで言い終わらないうちに、強い力で腕を引かれた。

体がバランスをくずして、倒れこんだのはベッドの上。目の前には、緩んだ西野のネクタイが……。



「……西野?」


これはいったい、どういう状況で?

顔をあげると、熱っぽい瞳の中に囚われた。

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