無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「えー……どうしよ。なんか、ふつうに引くんだけど……」
「引……!? え、ごめん、なさい」
「ほんと、バカなんじゃないの。男が寝てるとこに一人で来るとか」
「うっ……ごめん。気持ち悪かったよね」
言われてみればそうかも。
自分が熱が出て保健室休んでたとして、クラスメイトの男子がのぞきに来たら、たぶんびっくりしちゃう。
「俺だったからよかったものの……。
いや、俺だからダメなのか。……特に今あぶないよ」
ベッド……というか、西野に乗りあげてしまってる私。西野が腕を離してくれないから、密着した状態のまま。
反対の手が私の腰のあたりに回ってきてビクッとした。
「俺が心配だった?」
耳元。
羞恥を煽る、わざとらしい甘い声。
否定はもうできない。
さっき、自分で言っちゃったから。
「じゃあ。俺の言うこと聞いてよ……利奈」
熱っぽい瞳がゆるやかに細められた。