無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


抑揚のない声。

そういえばそういうことにしてたっけ…と、自分の設定を思い出す。



お似合い……。


ズドン、と心に重たいものがのしかかった。




「じゃあお前だめじゃん。髪色アウト」

「うん、そうなんだよね。かなしいねー」



棒読みすぎて、悲しさなんて微塵も伝わってこない。




「で、結局。菊本さんのこと好きなわけ?」

「利奈は……なんていうか、……オモチャ?
……でも──────」




聞いてられなかった。

悪いとは思いながらも、鈴ちゃんを待たずにトイレを飛び出す。




……オモチャ……オモチャね。


はいはい。

わかった


……わかったよ。





1限目が始まると、私が話を聞いてたなんて知りもしない西野は、ニコニコご機嫌な顔で話しかけてきた。


私はうまく笑うことができなくて、そっけない態度で放課後までやりすごした。





< 115 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop