無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
抑揚のない声。
そういえばそういうことにしてたっけ…と、自分の設定を思い出す。
お似合い……。
ズドン、と心に重たいものがのしかかった。
「じゃあお前だめじゃん。髪色アウト」
「うん、そうなんだよね。かなしいねー」
棒読みすぎて、悲しさなんて微塵も伝わってこない。
「で、結局。菊本さんのこと好きなわけ?」
「利奈は……なんていうか、……オモチャ?
……でも──────」
聞いてられなかった。
悪いとは思いながらも、鈴ちゃんを待たずにトイレを飛び出す。
……オモチャ……オモチャね。
はいはい。
わかった
……わかったよ。
1限目が始まると、私が話を聞いてたなんて知りもしない西野は、ニコニコご機嫌な顔で話しかけてきた。
私はうまく笑うことができなくて、そっけない態度で放課後までやりすごした。