無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「大丈夫だよ、気にしないで。むしろ堅苦しいの苦手だからタメ語でいいよ」
「えっ。じゃあ、お言葉に甘えて……」
ほんとは少し抵抗あるけど、なんてったって合コンだから。くだけた感じでいかないと、空気ぶち壊しちゃいそうだし。
そわっとあたりを見回した。
女子は知ってる子がほとんどって話だったのに、見たことあるのはサエちゃん1人だけ。
みんな、メイクばっちりきめてる。
真っ白なお顔。ほんのりピンクなほっぺた。ばっちばちに上がったまつげ。うるっと濡れた唇。ふわふわな髪……。
ちょっと待って。
黒髪なの、私だけじゃない?
髪は巻いてきたけど。顔には軽くパウダーはたいてきたけど。目尻だけアイライン引いてみたりしたけど。
……ナチュラルすぎて、“メイクしました”、とは言えないレベル。
この中で明らかに浮いてる気が……。
「リナちゃん? どうしたの?」
蒼くんに顔をのぞきこまれて、ヒッと縮こまる。