無気力オオカミくんは、私だけに夢中。

えっ。今度はなに?


西野くんの顔が近づいてくるのがわかってパニックになる。

ふわっと甘い匂いがして、思わずぎゅっと目をとじた
──────その直後。




「スカートのファスナー開いてるよ」

「…………え?」




言葉の意味を理解して、頭が急に冷静になった。


慌ててその場所に手を伸ばすと、先に触れていた西野くんの手に自分の手が重なって、ドキン! と心臓が跳ねあがる。




「っあ、ごめんなさい……」



静電気を受けたかのような勢いで、触れた手を離してなぜか反射的に謝ってしまう。

西野くんの手が私のスカートのファスナーに触れているという、一見、なんとも危うい光景。




「これは……俺にファスナーを上げろと?」

「へっ?あ、いや……自分でやるよ?」

「……」

「だからその、手、離して……」



必死に訴えると、またしてもククッと笑われた。

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