無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
蒼くんの視線から逃れるようにしてオレンジジュースを一口すすった。
するとその直後、
私の背中側にあった扉が開く音がして。
「おい、遅ぇーよ」
という男子の声と、
「~~~ッ、」
と、声にならない女の子たちの歓喜が部屋中に広がった。
「何やってたんだよ。来ねぇのかと思っただろ」
「ごめん。今日のことフツーに忘れてた」
「はあ?忘れてた~?そりゃねぇだろ」
「無理やり参加させられただけなんで。一回家に帰ったら連絡きててあせった」
女の子たちの視線が私の後ろの人物に注がれる中、私だけがその人を見れずにいた。
だって、声が……。
「いーよなあ、女に困ってねぇヤツは」
「ほんと。こんなとこ来なくても寄ってくるもんな?遥日クン」
ドッと心臓が動いた。
“もしかして”は、すぐに確信に変わってしまう。
「遥日くんの席、ここだよ~!」
甘い声が響いて、呼ばれた人物は私のすぐ後ろを通って、空いた席へ……。