無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
運ばれてくる食べ物にはほとんと手を付けないまま、ドリンクに手を伸ばす。
どうしてか食欲がわかなかったから。
蒼くんは変わらず近い距離で話を振ってきた。
話もおもしろくて、思わず笑ったりもしたけど、ボディタッチがかなり激しい。
でも、肩とか、手とかだけ……だから。
やめてくださいなんて言ったらしらけそうで、ニコニコ相づちを打ち続ける。
ちらっと西野のほうを見たら、となりの女の子とべっとりくっついてた。
相手の子、色っぽくてべりー可愛い。
それに、西野……笑ってる。
女の前じゃ笑わないって噂、どこ?
やっぱ、誰にでもニコニコするんじゃん。
もう泣きたい。
蒼くんはイケメンなのに、私はなんでドキドキしないの?
彼氏を見つけるどころか、どんどん気分が重たくなっていく。
「リナちゃん、ドリンクきたよー」
蒼くんがグラスを渡してきて、パッと笑顔をつくった。
「ありがとう!これ、何ジュース?」
「んー。飲んでからのお楽しみ。美味しいから、ほら」