無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
ゆらゆらゆらゆら。
心地いい。
甘いにおいがする。
ずっとこのままがいいなあ、と思ってたら
揺られていたのが、急に止まって
どこかにおろされた。
背中に固いものがあたる。
……壁?
「う……?」
ぼやっと開けた視界に、誰かの影がうつった。
「利奈、」
これ、西野の声。
「個室借りたから、しばらく寝てな」
なんか、優しい響き。
「にしの……」
「ん?」
「なんで……降ろすの?」
「降ろす?」
だって、今までずっとくっついてたのに。
「離れちゃ、やだ……ぎゅってしてて」
たぶん、これ夢の中。
景色ぼやぼやしてるし、頭とふわふわしてるし。
「ワガママだね。……ん、いいよ」
なにより、西野が甘い……。
夢の中なら都合がいい。
どれだけ甘えても自分しかわからないから。
西野の腕が背中に回ったことを確認して、私はぎゅっと抱きついた。