無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「利奈ちゃん」
「んー、なぁに……?」
「きみが今抱きついてるの、男だからね」
おとこ……。
そんなの
「わかってるよぉ。にしのは、男子でしょ?」
「うん。……いつもの警戒心どこに捨ててきたの」
「んー……?」
「利奈ちゃんは、お酒に酔ったら誰彼かまわず抱きつくタイプなんですかね」
「お酒……?そんなの飲んでないし……」
まだハタチになってないもん、法律はちゃんと守りますよ……。
「騙されて飲まされたんだっての」
「んえ……お酒じゃなかったよ、すごい甘かった」
「それが酒なの」
「ちがうぅ……」
首を横に振ると、短いため息をつかれた。
「いつもの数倍めんどくさいな。利奈と付き合ったらすごい疲れそう」
「ええ…ひどい……。夢なのにひどい……なんで」
「夢?」
「夢の中だから、甘やかしてくれると思ったのに……」
「……」
夢も現実も甘くないかぁ……。