無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



「利奈ちゃん」

「んー、なぁに……?」

「きみが今抱きついてるの、男だからね」



おとこ……。
そんなの



「わかってるよぉ。にしのは、男子でしょ?」

「うん。……いつもの警戒心どこに捨ててきたの」

「んー……?」

「利奈ちゃんは、お酒に酔ったら誰彼かまわず抱きつくタイプなんですかね」

「お酒……?そんなの飲んでないし……」



まだハタチになってないもん、法律はちゃんと守りますよ……。



「騙されて飲まされたんだっての」

「んえ……お酒じゃなかったよ、すごい甘かった」

「それが酒なの」

「ちがうぅ……」



首を横に振ると、短いため息をつかれた。



「いつもの数倍めんどくさいな。利奈と付き合ったらすごい疲れそう」

「ええ…ひどい……。夢なのにひどい……なんで」

「夢?」

「夢の中だから、甘やかしてくれると思ったのに……」

「……」



夢も現実も甘くないかぁ……。

< 129 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop