無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
また意地悪されるのかと思ったら、今度はあっさりと離してくれた。
「いつもこんな、おっちょこちょいなの?」
「え? ううん、今日だけ、たまたま」
ファスナーを引きあげながら返事をする。
抜けてるって言われることはたまにあるけど、おっちょこちょいってほどじゃないと思う。
「……おもしろ」
机に頬杖をついて、ニヤッと笑う西野くん。
「利奈って、すぐ赤くなるんだ」
手を伸ばしてきて、私の髪に触れて、クルクルもてあそびながら顔をのぞき込んできて。
「男に免疫ないの?」
と、バカにしたように聞いてきた。
「めんえき……」
「男慣れしてないってこと」
「うっ、そんなことないよ……?」
「へえ。じゃあ彼氏いんの?」
「……いないけど」
私がそう答えるやいなや、西野くんは「やっぱり」とこぼす。
「だろうと思った」