無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


『は……お前誰?』



警戒心バリバリの声。

うん、それ当然の反応。


幼なじみのオンナノコに電話かけたのに男の声が返ってくるとか、普通にホラーだし。

陸人くん、一瞬にしてイヤな予感が頭ん中かけめぐったでしょ。




「陸人くん。俺、西野」

『は、ニシノ?……西野遥日?』

「うん」

『なんでお前が……。あいつ、合コンに行ったんじゃねぇの?』

「その合コンに、たまたま俺もいたんだよ」



これは嘘じゃないんだけど、信じてくんなそー。

むしろ俺が聞きたかったくらいだし。

なんで利奈がいるんだって。




『……で、利奈は?』

「となりで寝てる」

『っ、なんだよそれ』

「大丈夫、取って食ったりしてないから。悪いセンパイに酒飲まされて、つぶれてるだけ」

『あー……。やっぱ合コンなんか行かせるんじゃなかった』



ほんとにね。



「俺がいなかったら侵されてたかもしんない。冗談抜きで」



電話の向こうで息をのむ気配がした。

一瞬頭の中でその光景を想像して、俺も今さらながらゾッと悪寒がはしる。


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