無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「それより、陸人くんなんの用だったわけ?ずっと鳴らしてたでしょ」
打ち消すように声のトーンをあげた。
『ああ。合コン終わったら迎えに行くって約束してたんだよ。今駅にいるから、そっちの店まで行くわ』
「あー……、うん」
そーいうこと。
帰りの心配も無用ってわけか。
「合コンの店とは違うとこに移動したから、場所分かんないと思う。陸人くんはそこにいていーよ、俺が駅まで連れてく」
返事を待たずに電話を切った。
腕の中には、幼なじみに迎えを頼んだくせに呑気に寝てる女が一人。
警戒心、ほんっとゼロ。
「利奈ちゃん、今度こそ起きてね。駅までボクが連れてくんで」
さっきよりも強く揺する。
なんとか目が開いたのを確認して、自分に向き合わさせた。
「駅まで歩ける?」
「う……歩きたくない……」
「じゃあ、おぶるから背中乗って」
「えぇ……」
また、不満そうな顔。
「陸人くん待たせてるから、言うことききな?」
「……っこがいい……」
「ん?」
「抱っこ……」