無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



「ハルカ、お持ち帰りか~?」


カウンター前で同い年のバイト仲間に声をかけられた。




「蒼センパイに酒飲まされてつぶれてたから連れ出しただけ。今から駅まで送る」

「へぇ~珍し。いつもは女が食われかけても知らん顔してるくせに」


「そーだっけ。この子クラスメイトでさ、助けなかったら俺の印象悪くなんなーと思って」

「はあ。相変わらずゲスか。でもけっこう可愛いじゃん?お前のタイプじゃなさそうだけど……純粋そうだし。オレが慣らしてあげたいな~」




にやりと笑われる。

冗談めいた口調だけど、たぶん、わりと本気。




「ハルカ、もう手出した?」

「いや?」

「ふーん。お前ってさんざん遊んでるくせに、かなり食わず嫌いだよねぇ。オレにくれない?」




こいつは基本、女には優しいし、悪いようにはしないだろうけど。




「だめ」

「なんで?」

「気に入ってんの。キスのねだり方が可愛いから」




あの顔、他の男には見せたくない……とかね。



この無防備な姿も

駅に着くまでは俺のもの。


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