無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
.
.
駅までは歩いて5.6分。
ふつうに腕、つりそう。
「利奈ちゃん。俺もう腕疲れたんだけど」
「んぇ……にしの非力すぎ……」
「利奈ちゃんが重たいの。下ろしていい?」
「だめ……。にしの、もやしだよね……体…細いし」
はあ?
なにその聞き捨てならないセリフ。
「見た目で決めつけないでくれる?」
利奈の手をつかんで押し倒すことなんか余裕だし、なんなら片手で、ぴくりとも動けなくしてやれるんだけど。
「腕が疲れたってだけで、持てないって言ってるわけじゃないから」
「むふふ、にしのムキになってる」
「……はあ、なにそのヘンな笑い方」
図星を指されて反射的に言い返しそうになったけど、あどけなく笑った顔を見ると妙に気が抜けてしまった。
気づかないうちに俺の顔も緩んでしまう。
「乗り心地はどうですか?お姫様」
「う~ん。とてもよいです、えへへ、」
……しょうがない。
この素直な笑顔を可愛いと思うのは。