無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
密室とオオカミ





.


.






うっ、頭いたい。

目が覚めたきっかけはそれ。


ぼやぼやした視界に見慣れた部屋が映る。


私の部屋、ベッドの上。



「やっと起きたか」

「ひっ!?」



私をのぞき込んできた黒い影に、心臓がきゅっとしまってヘンな声が出た。



「なんだ陸人かぁ。びっくりして寿命が縮むかと思った」



ん。でもなんで陸人がここにいるんだろう。

ていうか今何時?



「ううっ、頭いた……」

「そんなに飲んだのかよ」

「え。飲んだってなにを?」

「酒」

「サケ?」

「合コンで飲まされたって聞いたけど」




ゴーコン。

……そうだ、合コン!



「えっ、なんで私ここにいるの!?合コンはどうなったの……まさか合コンも夢……?」



合コンに行ったら、派手派手の可愛い子たちばっかりで、ろくにメイクもしてない私、めちゃくちゃ浮いてて。

でも蒼くんって人が優しく話しかけてくれて、ずっと話してて、美味しいジュースのんで、そしたら……。そしたら?



やばいかも。記憶がない。

< 144 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop