無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「私、寝言とか言ってないよね?」
“西野”なんて口走ってたらどうしよう。
陸人に、あれだけ気をつけろって言われてたのに。
「すーすー寝てた」
「そっか」
よかったあ。
うん?でも、陸人がお店まで迎えに来てくれたってことは、西野が合コンにいたのも知ってるのかな。
「ねえ陸人──────」
「お前さ、西野に遊ばれてねぇ?」
「え?」
心臓がドキっと跳ねた。
「え……と、わかんない」
「はあ?」
「う、いや。となりの席だから、よく話すようになっただけで……。ハレンチなことはなにもしてないし、ほんとに……」
陸人にどこまで言っていいのかわかんない。
空き教室で西野とキスしたなんて言ったら、すこぶる呆れられそう。
「あのな。言っとくけど、西野はなんとも思ってねぇからな」
「え……」
「あいつ、誰とでも平気でキスするから。頼まれたらなんだって応じるし、裏でヤバイ先輩と繋がってるって噂もある。俺、1年のとき同じクラスだったから分かんだよ。西野は、女を遊び道具くらいにしか思ってない」