無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
ああ、やっぱり……。
周りから見ても不釣り合いなんだ。
でも彼女ってわけでもないし、幼なじみとして隣にいるなら、問題ないよね?
なんだか急に不安になってきて、意見を求めようと隣を見たけど、西野くんはすでにスマホをいじりはじめていて。
うーん。話しかけづらい。
気だるげで、つまんなそーな横顔。
さっき私のことをからかって楽しそうに笑ってた人物だとは思えない。
絡まれるのは勘弁してほしいけど、急にこうやって黙られるのも困る。
もう私に飽きたのかな。
そう言えば、西野遥日はすごい気まぐれだって、誰か言ってたっけ……。
そのまま言葉を交わすことなく、終礼に突入。
荷物をカバンにつめこんでいると、教室の後ろ戸がガラッと開いて、クラスにいた女の子からワッと控えめな歓声がわき起こった。
──────あ、噂をすれば。
「利奈ー。帰ろ」
現れたのは陸人。
たくさんの女の子の視線をかわしながら私のところに歩み寄ってくる。