無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「陸人が教室にくるなんて珍しいね。今日は部活ないの?」
「ん。顧問が出張で休みになった」
「そっかあ。たまには休まないとね」
うん、ってあいまいにうなずいた陸人の視線はもう、私じゃなくて、その隣に向いていた。
「……西野の隣だったんだ?」
その声に、スマホを触ってた西野くんが顔をあげる。
陸人と目を合わせると、薄く笑って。
「どーも。陸人くん久しぶり」
「おう」
……えっ、知り合い?
見あげると、私の驚きに気づいたらしい陸人が教えてくれた。
「1年のとき同じクラスだったんだよ」
「へえ~、なるほど……」
そういうことね。
面識あっだんだ……。
つい、2人をまじまじと見てしまう。
整った顔がふたつ。
近くにいすぎて忘れてしまいがちだけど、陸人もたぶんイケメン。
西野くんと並んでも、ぜんぜん劣って見えない。
これはモテるのも、まあ、わかるなあ。
……なんて思ってたら、陸人がいきなり私の肩をつかんで、ぐっと自分のほうに引きよせた。