無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「なあ西野。利奈のことは、あんまりからかわないでやって。コイツ、すぐ本気にするから」
なんか、珍しく真面目なトーン。
心配してくれるのは嬉しいけど。
「いやいや、いちいち本気にしたりしないよ!西野くんが遊び人だってことくらい知ってるし」
「そうか?うっかり好きになっちゃった、とかお前ならありえそーで怖えよ?」
「な、ならないよ……っ」
西野くんの顔は大好きだけど、性格の悪さがそれを上回るんだもん。
女の子とっかえひっかえしてるような人を好きになっても絶対幸せになれないし、恋をするならちゃんとした人がいい。
陸人は疑わしい目で私を見たあと、また西野くんに向きなおった。
「とにかく手は出すなよ~頼むから。お前は、利奈には刺激が強すぎる」
ククって、西野くんが喉で笑う。
「刺激って……。うん、まあ。菊本は純粋そうだもんね」
「純粋そう、じゃなくて、まじで純粋なの」
「そっか。……大事にしてんだね」
その直後、西野くんのスマホがピロリンと音を鳴らした。