無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



ねえ、ともう一度圧をかけると、陸人は観念したように頭をかいて、ヤケクソみたいにつぶやいた。




「……駅までは、西野に送ってもらったんだよ、お前」

「っ!」




待って待って?

夢でもたしか、そういう流れじゃなかった?



西野にお姫様抱っこしてもらって、駅みたいなとこに着いたら、陸人が立ってたの。



……もしかして、あれ、夢じゃない……!?



てことは、その前は?


西野とふたりきりで、ずっとキスしてたのは?




「なに赤くなってんだよ」

「ひっ、だ、って」

「……ムカつく」

「へ……──────ぎゃっ!?」




それは一瞬のこと。


陸人に手首を掴まれたかと思えば、ぐるりと視界が回って。


浮遊感……のちに、背中に衝撃。


ベッドの上だから、あんまり痛くないけど……。



って、ベッドの上……?


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