無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
会話も終わるのかと思ったら、西野が顔を寄せて耳打ちしてくるからびっくりする。
「ねー利奈」
「ひゃっ。ち、近いぃ」
耳元はだめ。
胸のあたりがぞわっと動いて、触れられたわけでもないのに耳に熱いのが集中する。
「ん。もしかして耳弱い?」
「っ、弱いっていうか、こんなことされたら誰でもこうなる……」
ふーんと呟いた西野。
これは、からかわれる流れだ……と身構えた直後、先生が出席簿で教卓を叩いた。
「静かにしろー。いつまで経っても帰れねぇぞ」
教室がシンと静まり返って、ホッと胸をなでおろす。
こんな静かな中だったら、西野もちょっかいかけてこないよね。
案の定、西野は体勢をもとに戻した。
まったく。終礼にだけ出席して、なんの意味があるのやら。