無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
鈴ちゃんが目をぱちくりとさせる。
「陸人くんと一緒に帰るの?」
「うん」
「はあ、また女子が荒れることを〜」
「?」
「サッカー部ってファンの子たくさんいるし、練習でもギャラリー集まるじゃん?終わったあとに差し入れ渡したりしてさぁ。そんな中、陸人くんが利奈の手を引いて帰ったりしたら……」
「……あ」
そうだ、陸人はモテるんだった。
どうしよう、また反感買っちゃう。
「どうしよう、目立ちたくないよ」
「まあ、大丈夫じゃない?誰がどう見ても立ち入る隙ないからね〜、利奈と陸人くんは。妬みは買うかもだけど、実害はなかったでしょ?今までも」
それは、そうだけど。
「ていうか。うちも終わるまで残っててあげたいけど、今日バイトなの〜」
「あっ、全然大丈夫だよ。テキトーに暇つぶすから!」
「そお?ごめんね、また明日」
「うん、またね。気をつけて」
鈴ちゃんが教室から出たのを確認すると、自然とため息が出た。
陸人と帰るのはいいけど、ギャラリーの女の子たちに見られるのはやだな……。