無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
画面を見て、しばらく考えるような仕草をして、んー、と唸りながらスマホを机に伏せて。
「あーやば。約束あったの忘れてた」
なんて言いながら、のんびりと荷物をまとめ始める。
なんの約束なの?とか、わざわざ聞いたりしない。
絶対女の子でしょ。
私は「早く帰ろ」って陸人の腕を引いて教室を出た。
廊下を並んで歩くと、たくさんの視線を感じる。
今まで意識してなかったけど、西野くんも言ってたとおり私は陸人と釣り合わないから、鬱陶しく思ってる子も少なくないはず。
かっこいい幼なじみの隣を歩くのも楽じゃない。
あと何年くらい、一緒にいれるんだろ……。
陸人に彼女ができるまで?
「とにかく西野には気をつけろよ」
……うん?ちょっと待って。
陸人って彼女いないのかな?
「……おい利奈。聞いてんのか?」
ぼーっと考えてたら顔をのぞき込まれた。