無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
さて、今から何しよう。
教室にいてもいいけど……。
私の隣には、男子の人だかりができてる。
わいわいガヤガヤ。
西野、サボりマンのくせに人気者。
こんなとこにいると、落ち着かないよね。
移動する?
でもどこに?
そう考えてたら。
「そろそろ帰っか?」
「どっか寄る?」
「ファミレス行かね?腹減った」
いーねー、と賛同の声。
男子たち、そろそろここを離れるっぽい。
よかった。
「遥日も行くよな?」
「……わるい、今日はパス」
「はあ~?」
え、西野行かないんだ。
バイトかな。
思わず聞き耳。
「俺はしばらく教室に残る。また誘って」
「残る?なんで……」
ドキ、とした。
教室って……。
もしかして、って思ったんだ。
でも──────
「30分後に雛子と約束あるから」
ふくらんだ期待はほんの一瞬でくだけ散った。