無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「遥日じゃーな」
「今度、絶対紹介してくれマジで」
メソメソしてるうちに、西野を囲んでた男子たちは教室を出ていってしまった。
見渡しても、他に残ってる人はいない。
……え、2人きり!?
まずい。視線の置き場に困る。
ささっとスマホを出して、夢中になってるフリ。
西野が残ってることにも、気づいてませんよってくらい。
しばらく、両者ともに無言。
なんだか耐えきれなくなって席を立った。
行き先は決めてないけど、図書室にでも身を置かせてもらおうかな。
「利奈」
「ひえっ」
「どこ行くの」
「えと、図書室」
「図書室になんか用事でもあんの?」
「いや、ないけど……」
あっ、しまった。
「ある!よ」
「利奈が本読んでるとこ見たことないけど」
「んん、読むよ?ときどき」
「少女漫画ね」
「ちがっ……んぅ」
立ち上がった西野に、ほっぺたを引っ張られた。