無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「雛子ちゃんだったら、そーいうことするの?」
「は?」
冗談っぽく聞くつもりが、思ったよりも低いトーンになってしまった。
自分の暗い声がみじめ。
明るく振る舞わなきゃって考えちゃうのがみじめ。
「私にその気は起きないってことは、私より可愛い子だったら、そーいうことするってことでしょ」
すぐやけになって口を開くの、悪い癖。
心が弱くなると、誤魔化すみたいに口数が増える。
「……利奈、」
「触んないでっ。近寄ったらネクタイ引っ張って首絞める……」
「……。ずいぶんとハードなプレイをご所望で」
あー、やだ。
私は荒ぶってるのに、西野はちっとも動じてないのがやだ。
望みがないなら、ちゃんとケジメをつけなきゃけいない。
中途半端なままにしてたら、いつまで経っても西野から離れられなくなりそうだから。
「あ、あのね……っ。西野の言うとおり、私は少女漫画育ちで脳内がお花畑だから……。遊びでフラフラ付き合うとか絶対いやだし、軽いノリのキスとか理解できないし、……だから、西野におもしろ半分でかわれるのは……こ、困る」