無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「でも、付き合うなら絶対陸人くん」
「わかる。遥日くんに関わったら泣かされるもんね」
「遥日くんって男子の前じゃ普通なのに、女子相手だとバッサリ冷たくなるらしいじゃん?要望には応えてもらえるけど、大事にはしてもらえないって」
「そりゃあ、“彼女"じゃないからね」
「でも彼女志願者はめっちゃいるよ。絶対無理なのにねー。ドエムだったら耐えられるのかな」
「ドエムかぁ。あたしは無理だ~!
ってことで、陸人くんの彼女になりたい」
つ、つまり。
顔面ツートップは西野遥日と秋田陸人だけど、付き合いたい部門で言ったら、陸人がナンバーワンってこと?
「でも陸人くん、幼なじみいるじゃん?」
「あーっ。えっと、菊本利奈?」
「そうそう」
よ、呼び捨て!
怖いよぉ……。
辺りはもう薄暗いから、彼女たちは隣にいるのが私だと気づいていないらしい。
慌てて少し距離をとった。
「たまに一緒に登校したりしてるよね。付き合ってるって噂もあるけど、実際どうなのかなー」