無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
たしか、草捨て場が近くにあったはず……。
そう思ってキョロっとあたりを見渡したら。
「利奈」
「わっ、陸人」
ちょうど陸人がこっちに向かってくるところだった。
サッカー部のジャージを着てるからか、いつもよりたくましく見える。
「ちょっと待っててね、草捨ててくる」
「草?」
「むしってたら、いつのまにかこんなに大量に……」
私の足元を見た陸人は、うわー、と声を漏らした。
「どんな暇人だよ」
「スマホの充電があんまりなくって」
「だからって草取りすんの、利奈くらいだろ」
そう言いながら屈み込む陸人。
草の山をよいしょっと持ち上げて。
「えっ、いいよ。自分で捨てに行く」
「制服についたらマズいだろ。俺は部活のジャージだから。 お前はそこの水道で手洗って待ってな」
「あ、うん……ありがと」
草を捨てに行く陸人の背中をじいっと見つめる。
ははーん、なるほどね……。
うなずくしかない。
スマート紳士。
女の子の扱いを心得えている。
モテるわけだぁ。