無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「てか、なんで裏門なわけ」
戻ってきた陸人は、ジャージを軽くはたきながらそう言った。
「最高らへん、練習見に来てたろ。終わるまでそこに居ればよかったのに」
「え。私がいるって気づいてたの?」
「たまたま見えたんだよ」
ギャラリーの端っこのほうに、少しの間立ってただけなのに。
「目立つの嫌だもん。陸人めちゃくちゃモテるから、一緒にいたら絶対嫉妬されるし、また付き合ってるとか噂流される」
「ふつーに見せてりゃいいだろ。……幼なじみなんだし」
「……そうかな」
「そーだよ」
裏門を抜けたところで、陸人に聞こうと思ってたことを思い出した。
「ねー、陸人」
「ん?」
「彼女いる?」
「えっ」