無気力オオカミくんは、私だけに夢中。




「てか、なんで裏門なわけ」



戻ってきた陸人は、ジャージを軽くはたきながらそう言った。



「最高らへん、練習見に来てたろ。終わるまでそこに居ればよかったのに」

「え。私がいるって気づいてたの?」

「たまたま見えたんだよ」



ギャラリーの端っこのほうに、少しの間立ってただけなのに。



「目立つの嫌だもん。陸人めちゃくちゃモテるから、一緒にいたら絶対嫉妬されるし、また付き合ってるとか噂流される」

「ふつーに見せてりゃいいだろ。……幼なじみなんだし」

「……そうかな」

「そーだよ」



裏門を抜けたところで、陸人に聞こうと思ってたことを思い出した。



「ねー、陸人」

「ん?」

「彼女いる?」

「えっ」

< 206 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop