無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「けどお前、西野の顔好きだろ?入学したときも“あの人かっこいい~”とか言ってた」
「ええっ、そんなこと言ってたっけ?」
「覚えてねぇの?同じクラスがよかった~って嘆いてたろ」
「……言われてみれば、そんな記憶もあるような、ないような」
あ、思い出したかも。
入学式の日に女の先輩たちに囲まれてる西野くんを見つけて、親友の鈴ちゃんと野次馬しに行ったっけ。
「うん。たしかに顔は好き……かも」
「だろ?」
「でもね、顔だけだから」
今日ドキドキしちゃったのだって、不可抗力というか。
いきなり芸能人が隣にやってきて同じことされたとしたら、誰だって心拍数あがっちゃうよね?
でも、これからは惑わされないようにしないと。
精神統一。強い意思。
サムライのような……。
「うーん。大丈夫だよ、心配には及ばぬ」
「口調どうした?」
「西野くんのことは芸能人か何かだと思ってるからね、恋にはならない」