無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「へっ?いやっ、いいよ大丈夫!」
西野と歩いてたら、それこそ注目を集めちゃう。
そう思って断るも、男子の力に抗うことはできなくて、教室から連れ出された。
「俺も元々売店行く予定だったし。ついでってことで」
「え、あ……ありがとう」
廊下を歩いてるうちに、手は自然とほどかれた。
売店がある1階に降りると、人の多さに尻込みしてしまう。
「西野。やっぱり、ちょっと怖いんだけど……女の子の目が」
西野が隣にいるから、ってのもあるけど。
昨日、陸人ファンの子たちの話を盗み聞いて、陸人が絶大な人気を誇ってることを実感したから。
あの子たちの嫉妬を買えば、この身に危険が及んでもおかしくないと本気で感じるほどに。
「なに。朝からさっそく嫌がらせ受けたりしたの?」
「ううん、直接的な被害はまだないんだけど、明らかに影で悪口言われてるなって感じで……」
「へー。キスの一つや二つでよく騒げるね」
「いや、騒ぐ要素はちゃんとあるよ。たぶん。でも、私たちのキスは誤解だから」