無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「西野ってオレンジジュース好きなの?」
「いや?特には」
「えっ。この前もお店でオレンジジュース出したくれたから、好きなのかなと思ったんだけど」
あー…と、考えるように天を仰ぐ西野。
「まあ、普通に美味しーよね」
「……」
「あと、利奈っぽいなーと思って。なんとなく」
「っえ」
飲んでる途中じゃなくてよかったと思う。
動揺して気道につまらせそうだから。
「どっ、どういうことですか」
「えー……わかんね。でも、利奈オレンジジュース似合うよ」
「そう……?」
喜んじゃっていいかな。
オレンジジュース。
西野がそう言ってくれるだけで、オレンジジュースが軽率に私の1番の大好物になりそうだよ?
浮ついた気持ちでいると、不思議と周りの視線も気にらなくなってくる。
睨まれてるなぁと思いながらも、西野が隣に居てくれるだけで無敵な気分になれた……
──────はずだったけど。