無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


「西野ってオレンジジュース好きなの?」

「いや?特には」

「えっ。この前もお店でオレンジジュース出したくれたから、好きなのかなと思ったんだけど」



あー…と、考えるように天を仰ぐ西野。



「まあ、普通に美味しーよね」

「……」

「あと、利奈っぽいなーと思って。なんとなく」

「っえ」


飲んでる途中じゃなくてよかったと思う。
動揺して気道につまらせそうだから。



「どっ、どういうことですか」

「えー……わかんね。でも、利奈オレンジジュース似合うよ」

「そう……?」



喜んじゃっていいかな。

オレンジジュース。

西野がそう言ってくれるだけで、オレンジジュースが軽率に私の1番の大好物になりそうだよ?


浮ついた気持ちでいると、不思議と周りの視線も気にらなくなってくる。

睨まれてるなぁと思いながらも、西野が隣に居てくれるだけで無敵な気分になれた……


──────はずだったけど。


< 217 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop