無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「あっ。あいつだよ陸人くんとキスしてたの」
「うわーほんとだ。てか、なんで遥日くんと歩いてんの?」
「二股とかありえないんだけど。ちょっと可愛いとか言われてんの鵜呑みにして調子乗ってんじゃん?」
「キモ!そーいう女1番嫌いだわ~。早く消えろよ」
中には、わざと聞こえるように話す輩もいるわけで……。
うう、いたたまれない。
西野に聞かれるの恥ずかしいよ。
ヘンに気を遣わせるのもいやだなあ、慰められると、余計みじめになるし……。
そう思ってうつむいたら。
クク、と隣から押し殺したような笑い声が聞こえてきた。
えっ、何。
西野笑ってる?
「廊下2人で歩いただけで二股とかウケるね」
「……あ、そうだよね~アハハ」
心配するでも慰めるでもなく。
他人の不幸を見て呑気に笑うとは、さすが西野というか。
でも、そのおかげで気持ちが沈まなくて済んだ。
「利奈って、今日も陸人くんと帰んの?」
「あ、うん。約束してるし……」
「じゃあ。放課後はまた、部活終わるまで待たないといけないわけだ」