無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
西野がそう言ったのは、ちょうど自分たちの教室に到着したときだった。
含みをもたせた笑い方に、なにかイヤな企みを感じたけど、西野はそのまま何も言わずに男子軍団の中に入っていった。
今のなんだったんだろ。
気のせいかな。
私も自分の席について、お弁当を広げる。
机の上に、西野が取ってきてくれたお箸、西野が買ってくれたオレンジジュース。
ポッケには、西野にもらったピンクのリップ。
……なんか、与えてもらってばっかりだな。
私も何か、西野にしてあげたいけど……。
西野は、女の子足りてるもんなあ。
いったい何したら喜んでくれるんだろう。
卵焼きを食べながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。