無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
陸人は、なにか怪しいものを見るような目を向けてきた。
「利奈ってたまにキャラおかしくなるよな」
「そうかな」
「そんなんじゃ男寄ってこねぇぞ」
「……別にいいよ。いつか好きな人と運命的に出会えれたら、それで」
「はっ。運命とか夢見すぎだろ」
バカにされたっていいよ。
モテる陸人にはたぶんわからない。
私、まだ本当に好きな人できたことないから憧れてるだけ。恋愛に。
ちょっとくらい夢見させてほしいじゃん。
「夢見がちな女って、悪い男に引っかかるんだよなあ」
「もう~しつこいよ。西野くんはただの顔ファンだってば。きれいな顔見て、モチベあげるの」
「ふーん。つまりは観賞用ってことか」
「うん。それだ」
西野遥日は、観賞用。
ああ、なんかピッタリくるっていうか、しっくりくるっていうか。
観賞用……うん、いい言葉。
席の隣にイケメンのポスターが貼ってあると思えば、ぜんぜん大したことないじゃん。
授業どころじゃなくなるかもって不安がいっきに吹き飛んで、軽やかな気持ちになった。
結局、陸人に彼女がいるのか聞きそびれたけど、また今度でいいや。