無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「保健委員の仕事があって」
「そっか。お疲れさん」
「うん。陸人も部活頑張ってね」
「ん」
痛い痛い痛い痛い。
視線が痛いよ。
「てか、リボンは?」
あうう、突っ込まないで。
「家に忘れちゃった、アハハ」
「っとに間抜けだな」
「ひゃっ。ちょっとどこ触ってるの」
「ボタン」
「え」
「ここ、取れかかってる」
みんなの前でいきなり胸元に手をかざしてくるから、何事かと思えば。
「わあ、ほんとだ」
糸がほつれてて、今にもボタンが落っこちそう。
帰ったら縫い直さないと……。
あたふたしていたら、どこからかともなくカシャっとシャッター音が聞こえてきた。
音のしたほうを向くと、サッカー部集団がニヤけ顔で私たちにスマホを向けている……ではないか!
ヒュ~だの、うえ~いだの、よくわからない鳴き声を出しながら、パシャパシャ。
「陸人、あの人たちなんで撮るの?いやだっ」
慌てたように「ごめんな」と小声で謝った陸人。
「お前ら散れ!やっかむな!」