無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
そんな叫び声が響くと、サッカー部軍団は面白がるようにして去っていく。
「悪い。いつもあーいうノリの連中だから。……写真は後で消させる」
そう言うと、「俺も部活だから」と陸人は背を向けた。
「じゃー、またあとでな」
「あ、うん。またね」
さあ、保健室に行かなくちゃ。
さっさと保健だよりの原稿を終わらせて……。
再び足を踏み出した──────その直後。
「ひゃ」
自分の口から小さな声が漏れた。
足に何かが引っかかって……もつれて。
バランスを崩した体は、そのまま地面に。
ドタッと倒れ込んだ瞬間、クスクスと押し殺した笑い声が真上から落ちてきた。
視線を上げた先には、4人の女の子。
「ごめんね?足引っ掛かっちゃった」
意地悪く歪んだ顔が、わざとだって教えてくれる。
「菊本さん、あんまり調子乗らないほうがいいよ?うちらより怖い子いっぱいいるから」
ひやりと冷や汗。
リーダー格だと思われる子が「ね?」と周りの3人に同意を求める。