無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
わがままなオオカミ




──────昨日、あんなことを思ってたのにね。




「菊本、おはよ」


だるそうな声が落ちてきて顔をあげれば、イケメンが立ってるんだもん。
びっくりしちゃう。


いや、昨日の席替えで隣になったんだから、当たり前といえば当たり前なんだけど。



「お、おはよう……?」



うわずった声が出た。

やっぱり実物を目の前にするとダメだ。
ぜんぜんポスターに見えない。


あいさつを返したあとで、西野くんの言葉がほんとに自分に向けられたものなのか不安になって、周りを見渡した。


ちゃんと、菊本って名前呼ばれた気がするけど、空耳かもしれないし。




「挙動不審すぎ。なに、ユウレイでも見えてんの?」

「え……いや」

「そういや大丈夫?今日はチャック開けてない?」


西野くんの口角がにやりと上がる。

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