無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
そう思った直後、足音が聞こえてきて体が反応した。
人通りが少ない廊下。
近くを通るのは先生か、ここに用がある生徒か──────。
ドアを見つめてたら、取っ手が動いて
思わず目を見張る。
「──────あ、やっぱりここにいた」
聴き慣れた響き。
でも、待ってた声じゃなかった。
「ノック聞こえなかったけど」
「だってカギ開いてたんだもん。遥日はいつも閉めてるくせに」
それ理由になんないし
カギ開けといたのは……利奈が来るかもしれないから。
「またここで寝てたの?」
「お前は何しに来たわけ」
「遥日いるかなぁ~って。寂しくなっちゃって」
隣に座ってきた女の細い腰を、とりあえず抱き寄せた。
「かわいーモデルさんも、欲求不満か」
「遥日なら、後腐れなく満たしてくれるでしょ? ……”好き”とさえ言わなければ」
「面倒くさくなけりゃ、なんでもいーよ」