無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



態勢を変えて、俺の上にまたがってくる。


きちっと結ばれたリボンをほどいてやって、太ももに手を添えた。



目がくらむほど甘ったるい、
好きでも嫌いでもない香水の匂いがする。




「そういえばね。遥日がこの前一緒にいた菊本さん、さっき廊下で見たよ?」

「……へえ」

「白昼堂々、秋田陸人くんとイチャイチャしてた」



終礼のあと、陸人くんに会いに行ったのか。



「写真見る?すごい出回ってるよ」



頼んでもないのに、スマホの画面を向けられて、心臓が静かに音を鳴らす。



「距離近……」

「遥日、ちょっと妬いてるんじゃない?菊本さんのこと、ちょっと気にしてたよね」

「さあ?どーだろ」



相手の顔が少し歪んだ。



「遥日の近くにあんまりいないタイプだからじゃない?すぐに飽きるよ、いつもみたいに」



無性に黙らせたくなって、相手の唇を塞ぐ。



「お前に関係ないから、こっちに集中しろよ」


太ももに添えた手を動かすと、熱い吐息が肩にかかった。

それでいい。


口を出される言われる筋合いはないし、心配しなくても、他の男のものになった利奈なんか



もう──────どうでもいい。


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