無気力オオカミくんは、私だけに夢中。

「利奈……と、西野くん?」



目をまるくしたのは、中学から仲良しの鈴ちゃん――中川鈴(なかがわ すず)ちゃん。
今年も運よく同じクラス。おっとりしてて、すごく可愛らしい女の子。
今登校してきたみたい。



「鈴ちゃん、サボっていいと思う?一限目」

「え~サボるの?」



鈴ちゃんは西野くんと私を交互に見て、なぜか楽しそうに笑った。



「なるほど、そういうことかあ。西野くん、あんまりヘンなことはしないであげてよ?」

「だいじょーぶ。枕にするだけ」



ちょっと、言い方……。
人を道具みたいに。



「行ってきなよお。先生には、ウチがうまいこと言っといてあげる~」



にこにこ笑ってピースサイン。
引きとめてくれると思ったのに、期待とは違う反応に戸惑ってしまう。

鈴ちゃんに肯定されたら私、もう止められなくなっちゃうんだけど。



「ハイ、決まり。早いとこ移動しよ。廊下でせんせーとすれ違ったら面倒だし」



呑気な声にうながされるまま廊下を進んだ。

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