無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「はい、終わり。……駅まで送る」
背を向けた西野を、ぽかんと見つめる。
……なに?今の。
ちくっとしたところに手を当ててみるけど、特になんの違和感もない。
「リボン、ちゃんときつく結んどきなよ。陸人くんに見られたらマズいでしょ」
それだけ言って、西野は玄関の扉を開けた。
とりあえず、テキトーにリボンを結んで西野の元へ駆け寄る。
「ねえ。西野、」
「聞こえないから黙ってな?」
声をかけるも、跳ねのけられて。
「西野……」
駅に着くまで、もう、なんにも話してくれなかった。