無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「えー…じゃあ、横になる」
全部の神経が西野くんに意識が集中してるみたい。
少し動いただけで過剰に反応してしまう。
ソファが何回か沈んで、西野くんの頭が太ももの上に乗っかって、下から見つめられると……。
「ねえ、目閉じてよ……寝るんでしょ?」
「うん。寝るけど……」
西野くんが、パチリと瞬きをした。
色素の薄い、きれいな瞳。
無駄な肉がない、シャープな輪郭。
ふつう、寝そべったら誰だって、ちょっと引きつったみたいな顔になるはずだけど、西野くんはまったく崩れない。
それに比べて私は……。
「利奈。なんで顔隠すの?」
「だって……下からのアングル絶対やばいと思って。に、二重あごとか……」
すると突然、顔を覆っていた両手を、無理やり引き剥がされた。
「……ほんとだ。やばいね」
そう言って、にやり。
かあっと熱くなる。
「っ、手離してよ。そして早く目を閉じて……っ」
「嘘だよ。二重あごとか全然なってない。可愛い」
「……え、は……」