無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
西野、今から質問攻めに合うんだろうな。
大変だろうな。
聞き耳だけはしっかり立てながら、スマホを触るフリをした。
「お前、なんだよこれ」
「あー知らない。面倒くさいから話しかけないで」
「知らないじゃねぇーよ。雛子ちゃんと写りやなって」
「……」
「おーい無視すんなや」
西野の周りに人が集まっていくのが見える。
そんな中、ひとりの女の子の声が教室に響いた。
「ていうか遥日くん、その髪どうしたのっ?」
髪?
西野、髪型変えたりしたのかな。
それとも短くした?
「ほんとだー! 真っ黒!」
思わず顔をあげる。
これは反射。
……びっくりしたんだからしょうがない。