無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「鈴ちゃんごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
「あ、おけ~」
はあ、だめ。
考えるな考えるな考えるな。
トイレの周りには、男子がたむろってた。
ぱっと見、西野はいないみたいだからそのまま中へ入ることにする。
でも──────
「遥日さー。あいつ、マジでいきなりどうしたん? さっきすれ違ったとき、一瞬誰かわかったなかったわ」
どこへ行っても、今日は西野の話が飛び交ってる。
「オレもびびった。あいつの黒髪、ほんと慣れねぇ」
「毎回怒られっから、ようやく懲りたんじゃね」
「いや、それが違うらしーぞ」
「はあ?」
「好きな女のために黒くしたんだと」
……え?
ドクリと胸が鳴る。