無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



一瞬間が空いて、弾けるような笑い声が響いてきた。



「遥日に限ってそりゃねーわ」

「いや、マジマジ。本人が言ってた」

「……そういや、女の連絡先、ぜんぶ捨てたとか……」

「……」



個室にも入らず、水道の前に立ち尽くしたままその話を聞く私。

知らないうちに鼓動が速まってる。



「遥日の好きなヤツって誰?」

「絹川雛子だろ」

「間違いない」

「あいつ、遊んでる女のことすぐ切るくせに、雛子ちゃんだけはずっと続いてんだろ?」

「相性いいんだろーな。……色々と」



西野の友だちがそう言うんなら、もう疑いようがない。

他に候補があがるわけでもなく、雛子ちゃん一択。



……これが現実。


男子たちの声を振り切るようにして、個室に入った。

< 304 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop