無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
一瞬間が空いて、弾けるような笑い声が響いてきた。
「遥日に限ってそりゃねーわ」
「いや、マジマジ。本人が言ってた」
「……そういや、女の連絡先、ぜんぶ捨てたとか……」
「……」
個室にも入らず、水道の前に立ち尽くしたままその話を聞く私。
知らないうちに鼓動が速まってる。
「遥日の好きなヤツって誰?」
「絹川雛子だろ」
「間違いない」
「あいつ、遊んでる女のことすぐ切るくせに、雛子ちゃんだけはずっと続いてんだろ?」
「相性いいんだろーな。……色々と」
西野の友だちがそう言うんなら、もう疑いようがない。
他に候補があがるわけでもなく、雛子ちゃん一択。
……これが現実。
男子たちの声を振り切るようにして、個室に入った。